ホラーゲームの作り方【重要なことは3つ】

2019/12/7ゲーム制作

ホラーゲーム つくるコツ
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悩んでいる人

ホラーゲームを作ってみたいです。
でも、ホラーゲームはどうやって作れば面白くなりますか?

ゲームで人をビックリさせたり、怖がらせるコツを教えてください!

こんなご要望にお応えします。

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  • ホラーゲームを作るコツを3つのポイントで解説
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ゲーム開発歴15年。ゲーム開発の講師経験あり。20作品ゲームをリリースし、48万DL&Play突破。ゲームコンテストで7回以上受賞。インディーゲームも発売。ツクールやUnity等を使用。

今回は「怖くて面白いホラーゲーム」を作るコツを解説します。

ホラーゲームを作りたくても、どうやって作れば怖くできるのか悩みますよね。

ですが、コツさえ覚えてしまえば、実はとってもシンプルです。

ずばり、ホラーゲームを作るときに意識すべきことは3点だけ。

プレイヤーを不安にさせ、緊張させ、混乱させるのです。

この3点を意識すれば、あなたは間違いなく「怖くて面白いホラーゲーム」を作れるようになります。

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ちなみに筆者の私は、これまでに数々のホラーゲームを制作してきました。

どれもリリース後の結果は上々で、今でも多くの方をビックリさせたり怖がらせています。
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この記事を読めば、あなたはホラーゲームを作るコツを必ず知ることができます。
さっそくご覧ください!

ホラーゲームの作り方【重要なことは3つ】

ホラゲを作るときは 遊ぶ人の心理を読み解こう

結論、ホラーゲームの制作で重要なのは下記の3点です。

  • プレイヤーを不安にさせること
  • プレイヤーを緊張させること
  • プレイヤーを混乱させること

つまり、ホラーゲームを作る際は、ゲームを遊ぶ人の心理をよく理解しなければいけません。

それでは、それぞれ順番に解説していきます。

ホラーゲームを作るコツ①:プレイヤーを不安にさせる

まずは不安にさせよう

怖いホラーゲームを作るときに重要なのは、まずプレイヤーを不安にさせることです。

予め不安を抱かせておくことにより、ホラー演出を仕掛けた際により大きな効果が期待できるからです。

実は、不安を感じている人は、周りの状況や情報に対して普段よりも敏感になります。

つまり、視覚や聴覚が敏感になるので、ホラー演出をより刺激的に感じ取ることができるのです。

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なので、ホラーゲームを作る際は、プレイヤーに対して不安要素を与えなければいけません。

「不安」と「恐怖」は実は別物

ちなみに、「不安」と「恐怖」は似ているようで実は異なるものです。

不安は未来の心配に対して生じる感情で、恐怖は現在の危険に対して抱く感情です。

要するに、「これから何か悪いことが起こるかもしれない」という心配から生じるのが不安。

「今、知らない男に追いかけられている!」といった、危険な状況に直面している時の感情が恐怖です。

プレイヤーを不安に追い込む方法

ゲームでプレイヤーを不安に追い込むには、下記の要素を作りこむのが重要です。

  • 画面(ビジュアル)
  • 音楽
  • 効果音や物音

順番に解説していきます。

不安にさせる画面(ビジュアル)を作りこむ方法

ホラーゲームでプレイヤーに不安を感じさせるには、基本的に画面の色調を青白くさせたりしましょう。

つまり、「冷たい」「暗い」「重い」という印象を与えられる色にするのです。

そして、プレイヤーに対して進んでいく先をあまり見渡せないようにします。

進む先をはっきりと見えなくすることにより、周りの状況を把握しにくくさせます。
こうすることで、不安を感じさせることができるのです。

実は赤色は、不安を煽るには不向き

ちなみにホラー作品では、赤い色調のシーンがよく登場するかと思います。

幽霊が差し迫ってくるシーンや、殺人鬼が追いかけてくるシーンなど。

でもこの赤い色調は、不安を感じさせる場面に使うのはあまりオススメしません。

赤色は人に「警戒心」や「危機感」を感じさせる色です。

なので、恐怖を抱く対象が明確になった時点で使うほうが効果的です。

不安にさせる音楽の使い方

ホラーゲームでプレイヤーを不安にさせるには、適切な音楽を選択するのが非常に重要です。

まず基本的に、ずっと聴いていても耳障りにならない曲を選ぶべきです。

なぜなら、耳障りになる曲は集中力を欠き、不安を感じさせる以前にイライラする感情が募ってしまうためです。

また、ゲームへの没入感も阻害されてしまうので、仕掛けるホラー演出の効果が薄れてしまいます。

なので、ホラーゲームでプレイヤーを不安にさせたいなら、うるさくない曲を使いましょう。

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例えば、環境音楽(アンビエント)をBGMとして使うのがおすすめです。

ゲームに自然と馴染み、効果音や物音などもはっきり聞き取れるからです。

また、アンビエントの中でも「低音が多めの曲」を選ぶようにすると良いです。

ホラーゲームの暗い画面とよくマッチし、プレイヤーに重い印象を与えられるからです。

つまり、プレイヤーが見ているゲーム画面(ビジュアル)に対し、さらに重い雰囲気を追加させることができます。

なので、プレイヤーを不安にさせる場面では、低音が多めの環境音楽を選ぶのがオススメです。

不安にさせる効果音や物音の使い方

ホラーゲームでプレイヤーを不安にさせる際、効果音や物音は重要な役割を果たします。

適切なタイミングで適切な音を再生することにより、プレイヤーに対して不安を植え付けることができます。

例えば、足音です。
プレイヤーが歩く足音が反響して聞こえるようにすれば、その場に誰もいない「孤独感」を演出することができます。

頼れる者がいない状況にあることを悟るので、不安につながるのです。

また、プレイヤー以外の足音を聞こえるようにするのも不安を感じさせられます。

「そこに何かがいる」「何者かが迫ってくる」そう感じさせるような足音の使い方は非常に有効です。

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つまり、「そこに誰かがいるような音」や「身の危険を感じさせるような音」を選んで使えば良いということです。

なので、基本的には現実世界でも聞くことのある「リアルな音」が望ましいといえます。

(一応例外として、「未知なるモノの声」とかも不安にさせることができますけどね。)

また、技術的に可能であれば、なるべく立体音響(3Dオーディオ)を使用しましょう。

ゲームで聞こえる音を立体音響にすることで、ゲームへの没入感が一気に高まるからです。

特に、「何者かの不気味な声」や「ハサミやナイフの音」などが理想的。

こういった「危険を感じさせる音」を立体音響にできると効果的ですね。

なので、立体音響にすることで、音で感じさせる不安をよりいっそう高めることができます。

ホラーゲームを作るコツ②:プレイヤーを緊張させる

とにかく緊張させよう

怖いホラーゲームを作る際に重要なのは、プレイヤーをとにかく緊張させることです。

緊張感(スリル)のないホラーゲームは単純に面白くなく、もはやホラーゲームとは呼べません。

  • 「どこからか敵が襲ってくるかもしれない…」
  • 「突然上から何かが落ちてくるかもしれない」
  • 「このままでは逃げ切れないかもしれない!」

そんなスリルを感じられる場面がたくさんあると、とてもハラハラする怖くて面白いホラーゲームになります。

なので、ホラーゲームを作る際は、プレイヤーに緊張させる場面をたくさん用意しましょう。

プレイヤーを緊張させる方法

ホラーゲームでプレイヤーを緊張させる方法はさまざまです。

今回は、数ある手段の中から、簡単に実践できる方法を2つご紹介します。

何の予兆もなしに恐ろしい敵を登場させる

まず1つ目は、「ゲーム中で何の予兆もなしに恐ろしい敵を登場させる」というやり方。

敵にとびきりインパクトを与えるような登場の仕方をさせると、その後の緊張感を持続させるのに効果的です。

なぜなら、「また同じように前ぶれ無しで敵が現れるかもしれない」とプレイヤーが考えるようになるからです。

例えば、恐ろしいモンスターを「大きな音」や「派手なエフェクト」で突然登場させると、大きなインパクトを与えられます。

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サバイバルホラーの名作『バイオハザード』でも、洋館の窓からいきなり犬が登場するシーンがありますよね。

このように、突然モンスターや敵を大きなインパクトを与えて登場させると、緊張感をもってプレイされるようになります。

助かるか分からないギリギリ感を演出する

2つ目は、「助かるか分からないギリギリ感を演出する」というやり方です。

要するに、「危機一髪」というような状況を作り出すと、プレイヤーに最上級の緊張感を与えられます。

例えば、迫りくる敵から逃げ回るしかないという場面を作ってみましょう。

そして、追いつかれるギリギリのところで、なんとか逃げ切れるという風に上手く設定するのです。

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このとき、常に真後ろまで迫られている状態にすると、プレイヤーを緊張させるのに非常に効果的といえます。

こんな感じで、危ない瀬戸際を作り出すことで、プレイヤーに最大のスリルを与えることができます。

緊張が解けた瞬間に驚かすと非常に怖い

怖がらせるのが上手いホラーゲームは、プレイヤーの緊張が解ける瞬間に驚かしてきます。

なぜなら、人は緊張が解けた瞬間に驚かされるのが一番ビックリするからです。

緊張している状態というのは、ある意味「警戒している状態」ともいえます。

つまり、緊張していない無防備な状態で驚かせば、プレイヤーを最大限ビックリさせることができます。

なので、ホラーゲームでは「緊張させる場面」を作るのも重要ですが、逆に「油断させる場面」を作るのも重要なのです。

驚かすタイミングをずらす

さて、簡単に実践できるやり方として、「驚かすタイミングをずらす」というテクニックがあります。

プレイヤーが予想できるタイミングでは驚かさず、あえてワンテンポ遅らせてから驚かすのです。

一般的なホラー作品には、高確率で驚かしてくる「定番のタイミング」というものがあります。

普段からホラー作品に触れているプレイヤーは、このタイミングがやってくると無意識のうちに警戒をしているのです。

つまり、この警戒しているタイミングで驚かさなければ、直後にプレイヤーは「なんだぁ、怖いの来ないじゃん!」と油断してくれます。

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その油断するタイミングをすかさず突きましょう。
すると、大きくビックリする反応を見せることでしょう。

ただし、このテクニックは使いすぎると、いずれ見破られてしまいます。

なので、テクニックを使う場面と使わない場面を、交互に展開していくのがオススメです。

ホラーゲームを作るコツ③:プレイヤーを混乱させる

そして混乱させよう

さいごに、怖いホラーゲームを作るには、プレイヤーを混乱させることが重要です。

つまり、プレイヤーにとって「未知なるモノやコト」を作中に登場させて混乱させるのです。

「未知なるモノ」を目前にしたプレイヤーは頭が混乱し、やがてその心に恐怖の感情を生じさせます。

なぜなら、人は本能的に「情報の無いもの」「得体の知れないもの」に対して怯える生き物だからです。

傑作ホラーゲーム『P.T.』の生みの親、小島監督も下記のようにおっしゃっています。

「後は未知のものですね。何も情報がない時、人はより恐怖を覚えます。いい例はバンジージャンプですね。複数回やっとしても、一回目の恐怖に勝るものはありません。誰も先入観を抱いていないものが一番怖いんです」

出典:「小島秀夫監督、ホラーゲームを作りたくない理由を明かす」IGN Japan(最終閲覧:2025/02/21)

なので、ホラーゲームを作る際は、プレイヤーに対して未知のものを見せましょう。

プレイヤーを混乱させる方法

プレイヤーを混乱させるには、下記のような「未知なるモノ」を考えて登場させましょう。

  • 目的の分からない襲撃者
  • 人の顔をした化け物
  • 実体を伴わない移動する影
  • こちらの位置を知らないはずなのに、どこまでも追ってくるストーカー

ざっと例を挙げるとこんな感じです。

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どれも実際に遭遇したら混乱するでしょうし、「なんだか怖い」「不気味」と感じるはずです。

なのでホラーゲームでは、プレイヤーを混乱させるために「未知なるモノ」を登場させるのが重要なのです。

まとめ

遊ぶ人の目線で ホラゲを作ってみよう!

今回は、怖くて面白いホラーゲームを作るコツとして、重要な3つのポイントを解説しました。

この記事でお伝えしたことを簡単にまとめておきます。

check この記事でお伝えしたことのまとめ

  • ホラーゲームでは、プレイヤーを不安にさせよう。
    • 不安な状況で怖い演出を仕掛けると効果大!
  • ホラーゲームでは、プレイヤーを緊張させよう。
    • スリルのないゲームは、ホラーゲームとは呼べない。
    • 緊張が解ける瞬間に驚かすと効果大!
  • ホラーゲームでは、プレイヤーを混乱させよう。
    • 人は未知なるモノに遭遇すると、混乱して恐怖を感じる。

こんな感じでした。
この3点をしっかり意識して作れば、あなたのゲームは怖くて面白いホラーゲームになりますよ。

ドッド工房のふきだし
ドッド工房

あとは、ホラー映画やホラーゲームなど、実際にある作品からも研究していきましょう。

作品から研究する際は、「怖かった部分」をきちんとメモし、後で見返せるようにするのがオススメです。

「どうしてあのシーンは怖かったのか?」「そこまでにどういう過程があったのか?」

こういった点をしっかりと分析しましょう。

ちなみに、初めてゲーム制作に挑戦する方は、以下の記事も参考にどうぞ。

ゲーム制作の始め方から、作り方や学習方法、ゲームリリースまでの方法を徹底解説しました。
»ゲームの作り方【初心者向け・個人制作に必要な知識を解説】