イスを動かして上に乗るイベントの作り方【RPGツクールMV/MZ】


RPGツクールで謎解き脱出ゲームを作りたいと考えています。
なので、脱出ゲームによくある「イスを動かしてその上に乗るイベント」を作りたいです。
でも、その作り方がよく分かりません。
イベントの作り方を分かりやすく教えてほしいです!
こんなお悩みを解決します。
本記事の内容
- 「イスを動かして上に乗るイベント」の作り方を覚えられるよう、下記の3ステップで分かりやすく解説
- ステップ①:「鉄球を転がすイベント」を作る
- ステップ②:「穴まで鉄球を転がして落とすイベント」を作る
- ステップ③:「目的地まで踏み台(イス)を押して乗り降りするイベント」を作る
本記事の信頼性

この記事を書いている私はゲーム制作歴14年以上です。
手がけた自作ゲームは20作以上で、38万ダウンロード&プレイを突破、ゲームコンテストで7回以上受賞。
仕事としてゲーム制作の講師経験もあり、インディーゲームを開発して販売もしています。
今回は、脱出ゲームによく登場する「イスを動かした後、踏み台にして乗れるようにするイベント」の作り方を解説します。
あなたは今、RPGツクールで脱出ゲームや謎解きゲームの制作をお考えですよね。
そこで、そのゲームの一つの要素として、この「イスを動かすイベント」が思い浮んだのだと思います。
でもこのイベント、どうやって作れば良いのか悩みますよね。
「イスをどうやって動かせるようにすれば良いのか?」
「イスを踏み台にして上に乗れるようにするにはどうすれば良いのか?」
初めてこのイベントを作る場合は、けっこう難しく感じるかと思います。

でも実は、そんなに難しいものではありません!
一度作り方を覚えてしまえば、以降はあっという間に作れるようになりますよ。
この記事で解説する手順をマネすれば、あなたも必ず「イスを動かして上に乗るイベント」を作れるようになります。
それではさっそくご覧ください!
イスを動かして上に乗るイベントの作り方【RPGツクールMV/MZ】

「イスを動かして上に乗るイベント」を作るなら、まずは仕組みをしっかり理解しておくのがオススメ。
なぜなら、他のイベントを作る際にも応用できるようになるからです。
その仕組みを理解してイベントを作れるようになるには、下記の3ステップをこなしていくだけでOK。
各ステップのイベントを順番に作っていけば、自然と「イスを動かして上に乗るイベント」が作れるようになります。
- ステップ①:「鉄球を転がすイベント」を作る
- ステップ②:「穴まで鉄球を転がして落とすイベント」を作る
- ステップ③:「目的地まで踏み台(イス)を押して乗り降りするイベント」を作る

ちなみに、ステップ③で作るイベントが、今回の記事の目的「イスを動かして上に乗るイベント」の作り方そのものです。
それではさっそく、RPGツクールMV/MZなどのゲーム制作ソフトを準備してください。
なるべく分かりやすく解説していきますので、一緒に作っていきましょう!
ステップ①:「鉄球を転がすイベント」を作る
まずは、「単純に鉄球を動かすだけのイベント」を作ります。
- 鉄球イベントを置きたいマスをダブルクリックしてください。
すると、「イベントエディター」画面が表示されます。
- 【名前】をあなたのお好みでつけてください。※私は「謎の鉄球」にしました。
- 【画像】を変更してください。※私は鉄球にしました。
- 「自律移動」の「速度:」を 【4:標準速】に変更してください。
- 「トリガー」を 【プレイヤーから接触】に変更してください。
- 「実行内容」の下をダブルクリックし、「イベントコマンド」画面を表示してください。
- タブを【2】に切り替えてください。
- 【移動ルートの設定】をクリックし、「移動ルートの設定」画面を表示してください。
- 左上のプルダウンメニューで【このイベント】に変更してください。
- 「オプション」の【移動できない場合は飛ばす】だけに、【☑(チェックマーク)】を入れてください。
- 「移動コマンド」の【プレイヤーから遠ざかる】をクリックしてください。
そして、左に「プレイヤーから遠ざかる」が追加されたことを確認してください。 - 【OK】をクリックして「移動ルートの設定」画面を閉じてください。
- 【OK】をクリックして「イベントエディター」画面を閉じてください。

以上で完成です。
あとは、画像1の右上にある【再生ボタン】を押してください。
テストプレイでちゃんと動くかを確認しましょう。
ステップ②:「穴まで鉄球を転がして落とすイベント」を作る
次は、「穴の座標(5,4)まで鉄球を転がすと、鉄球が落ちたことにするイベント」を作ります。
イベント1ページ目
◆注釈://1.移動前の鉄球の位置を変数1に記録
◆変数の操作:#0001 [鉄球X*1000+Y]移動前 = このイベントのマップX
◆変数の操作:#0001 [鉄球X*1000+Y]移動前 *= 1000
◆変数の操作:#0001 [鉄球X*1000+Y]移動前 += このイベントのマップY
◆注釈://2.鉄球をプレイヤーのいる反対側に移動
◆移動ルートの設定:このイベント (飛ばす)
: :◇プレイヤーから遠ざかる
◆ウェイト:1フレーム
◆注釈://3.鉄球の移動後の位置を変数2に記録
◆変数の操作:#0002 [鉄球X*1000+Y]移動後 = このイベントのマップX
◆変数の操作:#0002 [鉄球X*1000+Y]移動後 *= 1000
◆変数の操作:#0002 [鉄球X*1000+Y]移動後 += このイベントのマップY
◆注釈://4.変数1と変数2の値を比較し、値が異なっていれば動かす音を再生
◆条件分岐:[鉄球X*1000+Y]移動後 ≠ [鉄球X*1000+Y]移動前
◆SEの演奏:Push (90, 100, 0)
◆
:分岐終了
◆注釈://5.鉄球が目的地(5,4)にあるか確認
◆条件分岐:[鉄球X*1000+Y]移動後 = 5004
◆注釈://6.目的地にあったら落ちたとしてスイッチ1をONに
◆SEの演奏:Wind7 (90, 60, 0)
◆スイッチの操作:#0001 鉄球落とした = ON
◆
:分岐終了
- 「変数:001」に移動前の「(鉄球のX座標)×1000+(鉄球のY座標)」を代入。
こうすることで、座標情報を1つの変数に入れることができます。 - 鉄球を移動させます。
この時、必ず「ウェイト:1フレーム」を入れるようにしてください。
もし入れないと、変数2に移動前の座標情報が代入されてしまいます。 - 「1.」と同じ要領で、移動後の鉄球の座標情報を代入。
- 変数1と変数2の値が異なれば、鉄球は移動したということなので移動音を再生。
ちなみに値が等ければ、移動していないということになるので再生されません。 - 移動後の座標情報が、穴の座標情報と等しいかを確認させます。
ちなみに、変数1に代入したのは座標情報X×1000+Yなので、穴の座標情報は5004です(5×1000+4より)。 - 移動後の座標情報が穴の座標情報と等しければ、鉄球が穴に落ちたとして落ちた音を再生します。
そして、スイッチ1をONにします。
イベント2ページ目
- イベント2ページ目には、スイッチ1がONになった場合のイベントを記述します。
今回は「穴に落ちた」というように見せれば良いので空っぽのままです。

以上で完成です。
あとは、テストプレイをして動作の確認をしましょう。
ステップ③:「目的地まで踏み台(イス)を押して乗り降りするイベント」を作る
最後は、「カーペットの座標(5,4)まで踏み台を押し、そこで決定キーを押すと踏み台に乗るイベント」を作ります。
イベント1ページ目
◆注釈://移動前の踏み台の座標を変数1に記録
◆変数の操作:#0001 [踏み台X*1000+Y]移動前 = このイベントのマップX
◆変数の操作:#0001 [踏み台X*1000+Y]移動前 *= 1000
◆変数の操作:#0001 [踏み台X*1000+Y]移動前 += このイベントのマップY
◆注釈://踏み台の移動
◆移動ルートの設定:このイベント (飛ばす)
: :◇プレイヤーから遠ざかる
◆ウェイト:1フレーム
◆注釈://移動後の踏み台の座標を変数2に記録
◆変数の操作:#0002 [踏み台X*1000+Y]移動後 = このイベントのマップX
◆変数の操作:#0002 [踏み台X*1000+Y]移動後 *= 1000
◆変数の操作:#0002 [踏み台X*1000+Y]移動後 += このイベントのマップY
◆注釈://踏み台を移動したときの音
◆条件分岐:[踏み台X*1000+Y]移動前 ≠ [踏み台X*1000+Y]移動後
◆SEの演奏:Push (90, 100, 0)
◆
:分岐終了
◆注釈://踏み台が目的地についたとき
◆条件分岐:[踏み台X*1000+Y]移動後 = 5004
◆スイッチの操作:#0001 踏み台目的地まで動かした = ON
◆
:分岐終了
ちなみに、ここについては「ステップ②」とほぼ同じです。
- 「変数:001」に移動前の「(踏み台のX座標)×1000+(踏み台のY座標)」を代入。
こうすることで、座標情報を1つの変数に入れることができます。 - 踏み台を移動。
この時には必ず、「ウェイト:1フレーム」を入れてください。
もし入れないと、変数2に移動前の座標情報が代入されてしまいます。 - 「1.」と同じ要領で、移動後の踏み台の座標情報を代入。
- 変数1と変数2の値が異なれば、踏み台が移動したということなので移動音を再生。
ちなみに等ければ、踏み台は移動していないということになるので再生されません。 - 移動後の座標情報が、カーペットの座標情報と等しいかを確認。
ちなみに、変数1に代入したのは座標情報X×1000+Yなので、カーペットの座標情報は5004です(5×1000+4より)。 - 移動後の座標情報がカーペットの座標情報と等しければ、踏み台が目的地に着いたことになります。
なので、スイッチ1をONにします。
イベント2ページ目
◆注釈://踏み台に乗ってるように見せる
◆場所移動:MAP001 (5,3) (向き: 左)
◆スイッチの操作:#0002 踏み台に乗っている = ON
- 2ページ目は「トリガー」を【決定ボタン】にしてください。
- 踏み台の座標(5,4)よりも1個上の座標 (5,3) に、プレイヤーを場所移動させます。
なぜなら、キャラクターが踏み台に乗っているように見せる必要があるからです。
イベント3ページ目
◆注釈://棚と壁以外の方向を向いたときに飛び降りる
◆条件分岐:プレイヤーが下を向いている
◆移動ルートの設定:プレイヤー (ウェイト)
: :◇ジャンプ:+0, +2
◆スイッチの操作:#0002 踏み台に乗っている = OFF
◆
:分岐終了
◆条件分岐:プレイヤーが右を向いている
◆移動ルートの設定:プレイヤー (ウェイト)
: :◇右を向く
: :◇向き固定ON
: :◇ジャンプ:+1, +1
: :◇向き固定OFF
◆スイッチの操作:#0002 踏み台に乗っている = OFF
◆
:分岐終了
◆注釈://ウェイトを入れてループによる処理落ちを抑える
◆ウェイト:3フレーム
- 3ページ目は「トリガー」を【並列処理】にしてください。
- 向いている方の目の前に障害物(棚や壁など)がない場合、踏み台から飛び降りるようにします。

以上で完成です。お疲れ様でした!
あとは今までと同じく、テストプレイで動作確認をしてください。
まとめ:さっそくこのイベントを作ってみよう!

今回はRPGツクールMVを例に、「イスを動かしてその上に乗れるようにするイベント」の作り方を解説しました。
ちなみにお伝えした方法なら、RPGツクールMV/MZに限らず、他のゲーム制作ソフトでも再現が可能です。

なので、RPGツクール2000/XP/VXなどを使っている方も、ぜひチャレンジしてみてください!
RPGツクールMV/MZをもっと使いこなしたいあなたへ
RPGツクールMV/MZを使いこなしたい場合は、ぜひ下記の記事もご覧ください。
コモンイベントを上手に使うと、作れるゲームの可能性が広がります。
RPGツクールMV/MZの拡張性を高める「コモンイベントの使い方」を解説しました。
»拡張性を高めるコモンイベントの使い方【RPGツクールMV/MZ】