フリーゲーム制作者としての15年間の活動を終えて【学びと経験】
先日、私はフリーゲーム制作者を引退しました。
この15年間の活動で得た学びや経験したことを共有します。
この記事の内容
- 私がフリーゲーム制作をやめた理由
- フリーゲーム制作者としての活動を通して、学んだことや経験したこと
- 15年間のフリーゲーム制作活動を振り返って
私は、フリーゲーム(フリゲ)の制作はやめますが、ゲーム制作自体をやめるわけではありません。
つまり、有料の同人ゲーム・インディーゲームの開発に転向するということです。
なので、ゲーム制作者としての活動は今後も続けていきます。
今回は、フリゲ制作者をやめるという節目を迎え、これまでの活動を振り返ってこの記事を書きます。
しかし、単に私の軌跡を語ってもあなたに益がないと思います。
なので、活動で得た「学びや経験したこと」を共有することにしました。
この記事は、これからフリゲ制作を始める方や、すでに始めている方に向けた私なりのエールです。
私がフリーゲーム制作をやめた理由
最初に少しだけ、フリゲ制作者をやめた理由をお話しします。
私がフリゲ制作をやめた理由は以下のとおりです。
- フリーゲーム制作者としての目標は達成できたから
- 作りたいゲームを無償で作り続けるのが難しくなったから
それぞれについて軽くお話します。
理由①:フリーゲーム制作者としての目標は達成できたから
1つ目の理由は、フリゲ制作者としての目標を達成し、満足してしまったからです。
私はフリゲ制作を続ける中で、以下の目標を設定していました。
- 自作ゲームを30万回以上は遊んでいただく
- ゲームコンテストで5回は受賞する
- 自作ゲームで誰かの心を動かす
これらの目標は、周りの方の支えもあって無事に成し遂げられました。
なので、私にとってはもう、フリゲ制作でやり残したことはないと思っています。
「心残りはない」と言えるほどに、心が満たされてしまったのです。
私のゲームを遊んでくださった方、そしておすすめして広めてくださった方のおかげです。
ありがとうございました!
理由②:作りたいゲームを無償で作り続けるのが難しくなったから
2つ目の理由は、作りたいゲームをこれまでのように無償で作り続けるのが難しくなったからです。
モチベーションと資金的な面で、これ以上フリゲを作り続けるのが困難になりました。
まず、上記の「理由①」で、フリゲ制作のモチベーションを見失ってしまったのです。
私は基本的に「達成すべき目標」がないと、物事が続きません。
また、作りたいゲームを実現するためには、どうしてもお金がかかります。
過去作よりもクオリティを高めるために、ツールや自己に投資する必要があるからです。
加えて、創作活動を続けるには生活費を稼ぐ必要もあります。
特に私は、奨学金を借りて大学を卒業後、会社員を辞めて自営業を5年以上続けています。
つまり、会社員よりも安定しているとは言い難く、まさに背水の陣のような状況です。
昔のように「好き」という気持ちだけでは、ゲーム制作を続けられません。
これに関しては、自業自得かもしれません。
でも、後悔はしていません。
フリーゲーム制作者としての活動を通して、学んだことや経験したこと
次に、私がフリゲ制作を続けた中で得た「学んだことや経験したこと」をお伝えします。
失敗談やマインドについてもお話ししますので、ご参考になれば幸いです。
ゲームを完成まで作りきるのは想像以上に難しい
ゲーム制作者の方のポストで、たまに話題にされているかと思います。
ゲームを完成させるのは、実は意外と難しいのです。
実際にやってみると身にしみて分かるのですが、実際そうでした。
2024年現在、私はこの名義で12作品リリースしています。
しかし、実は開発を中止した作品はこの15年間で7作品もあり、今も私のPC内で眠り続けています。
つまり、ちゃんと完成まで作りきれているのは、ほんの一握りなのです。
なので、もし未完成や制作中止になってしまっても、そこまで恥じる必要はありません。
現在、Web上では多数のゲームが公開されています。
ツクール製やUnity製など、さまざまなツールで作られたゲームが並んでいます。
そんな中、ゲーム開発に疎い方は、簡易的に作れるゲームエンジン製のゲームだからと貶してきたりもします。
ですが、彼らの言うことは全く気にしなくてOKです。
ゲームを作る苦労を知っている方なら、そんなことではまず貶してきません。
例えるなら、帰宅部の小学生が野球部の高校生に、ピッチングの説教を垂れているのと変わりません。
どのツールで作られていようが、完成させているだけでまず「グッジョブ」なのです。
なので、どんな形であれ「公開して遊べる段階」まで作れているのなら、まずはそのことを誇ってください。
チームでのフリーゲーム制作は、個人開発にはない苦労とリスクがある
実は、フリゲをチームで制作するのは、個人開発では味わうことのない苦労とリスクがあります。
何が大変でリスキーかというと、主に以下の3点。
- 進捗管理
- 作業の押しつけ合い
- 人間関係のトラブル
フリゲは多くの場合、利益を目的として制作しません。
それぞれが無償で制作作業を請け負う場合も多く、作業に対する責任を感じにくいのです。
つまり、無償労働なので責任が伴わないのです。
これが原因で作業が遅れたり、作業を押し付けあったり、さらにそれが起因して人間トラブルに発展してスタッフが離脱したりもします。
そして結局、ゲーム制作が円滑に進まなくなり、企画が頓挫するという悲劇が起こるのです。
実際に私は、チームでのフリゲ制作に参加したことがあります。
そのうちの1回は、残念ながら上記に近い状況になって制作中止になっています。
なので、チームでフリゲを制作するなら、なるべく信用のおける者同士でやるのがおすすめです。
また、可能であれば、各々の利益に繋がる「共通の目標」をもって、フリゲの制作に挑戦したほうが失敗のリスクを減らせます。
例えば、ゲームコンテストで受賞して、その賞金をスタッフで山分けする。
または、人気作になったらグッズ販売もして、その売上をスタッフで山分けするなど。
結局のところ、報酬を受け取れることが人間のモチベーションを維持するために最も効果的です。
なので、「作るのは無料ゲームだし、なるべく労働力もタダで済ませよう!」といった考えは、率直に言って捨ててしまうのがオススメです。
初心者のうちは短編ゲームから作ったほうが良い
これは個人ゲーム開発界隈でときどき話題になり、人によっては意見が分かれます。
私、一個人の意見としては、ゲーム制作に慣れないうちは「短編から作る」のをオススメします。
あくまで私の所感ですが、完成できたゲームが5作品以下なら、まだ短編ゲームの制作だけにとどめておいたほうが無難です。
なぜなら、長編ゲームの制作は、中級者以上の方でも完成させるのが困難だからです。
ゲーム開発に慣れていない方がいきなり長編ゲームを制作するのは、基本的に苦戦すると思います。
また、長編ゲームの制作は時間がかかるので、スキルの習得効率が良くないのも理由の一つです。
短編ゲームの場合は、短期間でも完成まで作れて、その都度プレイヤーからフィードバックをもらえます。
しかし、長編ゲームの場合は、長い期間を孤独に作り続けなければなりません。
フィードバックをもらえる機会も少ないので、だんだんと独りよがりになっていきます。
つまり、長編ゲームの開発は、PDCAサイクルを回しにくいのです。
活動を続けていくと分かりますが、「ゲームを作って、遊んでもらって、反応をもらって、改善する」という一連の流れを経験していくことが、成長していくうえで非常に重要といえます。
また、同じ時間をかけて複数の短編ゲームを完成させた方と比べ、人々に知ってもらうのに苦労する可能性もあります。
特に、これから1作目を作る方の場合は、有名人を除き、作り手としての知名度はゼロに近い状態です。
つまり、努力して長編ゲームをリリースしたとしても、期待していたほど遊んでもらえないリスクが高いといえます。
一応、例外はあります。
1作目から面白い長編ゲームを完成させて、見事に成功している方も実際にいます。
しかし、そういった方は、すでに別名義などで活動していた「経験者」、または「天才」と考えたほうが良いです。
なので、ゲーム開発に慣れないうちは、短編ゲームをメインに制作していくのを私はオススメします。
ちなみに私が初心者の頃、最初に作り始めたゲームは短編ゲームではありませんでした。
「短編から作ったほうが良い」という意見は耳にしていましたが、当時の私はロマンを優先したのです。
半年間くらい開発していましたが、途中でどうやって作れば良いか迷うことになり、結局は制作を中止しています。
その後は短編ゲームの制作にシフトし、たくさんのフィードバック(暴言含む)などを受けながら、別名義も込みで20作品以上を仕上げました。
なお、そのうちの1作品は、クリアするのに5時間~7時間ほどかかるゲームです。
複数の短編ゲームを作ってきたから完成できたゲームだと、今の私は思っています。
フリーホラーゲームのブームはとっくに去っている
フリーホラーゲームは一時期すごい流行りましたが、現在はあまり流行っていません。
実際に身を置いてみれば、きっとあなたも聞こえてきますよ。
閑古鳥の鳴き声が。
たまに「ホラーゲームを作れば実況とかされて、いっぱい遊んでもらえるんでしょ?」という方がいます。
しかし残念、もうそんな時代はとっくに終わっています。
Web検索して、フリーホラーゲームのランキング記事などをご覧になってみてください。
いつも上位に掲載されているのは、流行っていた当時の作品ばかりです。
某知恵袋で「おすすめのフリーホラーゲームを教えて」と質問してみてください。
回答されるのは、基本的に当時人気だったタイトルがほとんどです。
現在の状況では、たとえ優れたフリーホラーゲームをリリースしたとしても、当時の作品の実績を超えることは難しいといえます。
遊んでいただける方、広めてくださる方が圧倒的に減ったからです。
私はどちらの時代も経験しました。
そのうえで断言しますが、「たくさん遊んでもらいたい!」という理由だけでフリーホラーゲームを作るのは、残念ですが全くおすすめできない状況です。
これから始める方は、ホラーゲーム(ホラゲ)に対する「愛」が必要不可欠です。
ダウンロード(DL)数やプレイ数などの「数字の実績」を求めるだけの方には、率直に言って他ジャンルで作るのをオススメします。
世はまさにインディーゲーム時代。
クオリティの高いゲームが格安で容易く手に入り、かつてフリーホラーゲームを遊んでいた方たちの大半は移動した。
そう言っても過言ではありません。
利用規約を守って遊んでくれる実況者の方はごく一部
実況プレイ可能なゲームを制作している方は、共感していただける方も多いのではないでしょうか。
実は、利用規約(ルール)を守って実況プレイしてくださる方は、想像以上に少ないのが現実です。
それどころか、実況しているフリゲを貶す方もたまにいます。
実際に私のゲームでも、そういった方が数人いました。
その内の1名、1年前の当時に「登録者1,000人」を目指していた実況者の方のチャンネルを、先ほど少し見てきました。
すると案の定、その目標の半分にも達していませんでした。
彼は炎上系で活動していれば、もう少し違う未来があったかもしれませんね。
話が少し逸れましたが、基本的にフリゲには利用規約などを記載した「説明書(リードミー)」が用意されています。
しかし、この説明書の存在をそもそも知らない方が割といます。
つまり、フリゲの説明書は、基本的に読まれていないと考えたほうが良いです。
なので、ルールを守って遊んでいただきたいなら、読まざるを得ないようにする工夫をしなければいけません。
私のフリゲでもさまざまな対策をしてきましたが、効果的だったのは以下の対策。
ズバリ、ゲーム開始時の画面に「ゲームを遊ぶ前に説明書をお読みください」といった文章を表示する対策です。
この一文を入れるだけで、以前よりもルールを守って実況してくださる方が増えました。
なので、もし実況プレイ可能なゲームを制作している方は、こういった対策をするのがオススメです。
また、技術的に可能であれば、説明書をタイトル画面から読めるようにするのも、さらに効果的かと思います。
遊んでくれた方の意見を気にしすぎるのもかえって良くない
これは昔の私にも、絶対に伝えたいことです。
「ユーザーの意見は大切にすべき」とはよく言われていますが、すべての意見を取り入れる必要はないのです。
なぜなら、意見の中には少数派の意見も含まれている場合があるからです。
もし少数派の意見ばかりを採用してしまうと、多数派が離れていってしまいます。
つまり、改悪によってユーザーが離れていき失敗します。
あなたは「ノイジー・マイノリティ」という言葉をご存じでしょうか。
あえて某音楽系教育番組動画内の一言を借りるなら、「少数派は声がでかい」ということです。
さて、フリゲはご感想を書いてくださる方がとても少ないです。
貴重なご感想だからと、フリゲ作者はついついその意見を採用してしまったりします。
でも実は、これが結構危ないのです。
あなたのフリゲに書き込まれた感想も、もしかしたらそんな少数派の意見かもしれません。
実際に私も過去に、少数派のユーザーの意見をゲームに取り入れ、失敗した経験があります。
ゲームのアップデート後に「前のほうが良かったのに」と、複数の方に言われたことで気づきました。
なので、ゲーム制作者の方は、「ユーザーの意見だから」といってすぐに対応すべきではありません。
それが多数派の意見なのか少数派の意見なのか、しっかり吟味したうえで取り入れる必要があります。
ちなみに現在の私は、同じ意見を別々の方から3つ以上いただくまでは、基本的に対応しないようにしています。
また、「これは絶対変えないほうが良いだろう」という場合は、意見をどれだけいただこうと変えない姿勢でいます。
あくまでフリゲ・同人ゲームですし、すべてをユーザーの要望通りに仕上げる必要はありません。
個人開発のインディーゲームでは、作り手の個性や色を残すのも大切です。
他の作品に似ていると言われても、あまり気にする必要はない
フリゲ制作者の方で、自作ゲームが「○○に似ている」と言われた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、私のフリゲでもなぜか「魔〇の家に似てる」と言われたことがあります。
頑張ってオリジナル作品を仕上げたのに、「○○に似ている」と形容されると少し残念な気分になりますよね。
ですが、これに関してはあまり気にする必要はありません。
どれだけ既存の作品を真似ずに作ったとしても、結局は何かしらの作品に似ていると言われ続けるからです。
むしろ、人気作に似ていると言われているなら、ある意味「セオリー通りに作れている」とも言えます。
なので、特に気にしたり恥じたりする必要はありません。
「コレ、○○のパクリじゃん!」などと、安易な意見を言われることもあるかもしれません。
しかし、これもあなたが実際にパクっていないなら、そこまで気にしなくてOK。
パクリとオマージュの違いも分からない方の場合や、人気作しか知らない所謂にわかの方の場合もあるからです。
ちなみに、ツクール系のドット絵のホラゲを作ると、おそらく一度は「○○に似ている」と言われます。
例えば、鬼ごっこ系のゲームなら「青〇」、どんでん返しのストーリーなら「魔〇の家」。
学生キャラで少しグロいゲームなら「コー〇ス」と。
ツクールなどでドット絵のホラゲを作る以上、言われるのは仕方のないことだと割り切るしかありません。
時間をかけて作ったからといって、遊んでもらえるわけではない
フリゲ制作は、時間をかければかけるほど良いというものでもありません。
案外、一瞬の思いつきで時間をかけずに作ったほうが、深く考えながら時間をかけて作ったゲームよりも遊んでもらえたりします。
なぜなら、ゲームを探すユーザーが、ゲーム内容をイメージしやすいからです。
一瞬で思いついたことは「シンプルで分かりやすい」ことが多く、複雑なゲームよりも理解してもらいやすいのです。
つまり、ユーザーの興味も惹きやすいといえます。
実際、私のフリゲでも同じような現象を確認しています。
例えば、『エフレメイ』などは、割と深く考えずに一瞬の思いつきで制作しました。
しかし、しっかり考えてから作った『消えたあの時の叫び』よりも、DL数やプレイ数を上回っています。
なので、時間をかけて制作すれば遊んでもらえるというのは、必ずしも正解とは言えません。
思いつきでパパっと作ったほうが、意外と上手くいくケースもあるのです。
面白いゲームを作れば遊んでもらえるとは限らない
面白いゲームを作れば遊んでもらえるとは限りません。
なぜなら、誰もがゲームを作れるこの時代、毎日何十本もゲームがリリースされており、すぐに埋もれてしまうからです。
「面白いゲームなら、自然と口コミで広まっていって遊んでもらえるでしょ?」といった意見も目にしたことがあります。
でも、残念ながらそれは過去の話で、現在では甘い幻想です。
これは有料ゲームに限った話ではなく、無料で遊べるフリゲも同じ状況にあります。
確かに昔は、今は無きアツマールやふりーむ!に投稿するだけで遊んでもらえました。
特に見せ方の工夫や宣伝をしなくても、今よりも圧倒的に多くの方にフリゲを提供できたのです。
しかし、そんな時代は終わりました。
フリゲ投稿サイトの広告数が増えていることからも、アクセス数が芳しくない状況にあるのが窺えます。
したがって、フリゲの場合でも、人々に遊んでもらうには見せ方を工夫する必要があるのです。
そして、宣伝もしっかりやらないと手に取ってもらえません。
趣味で作りたいフリゲを制作して、友人や仲間などの「ごく少数の方に遊んでもらえれば良い」という場合は問題ありません。
しかし、多数の方に遊んでもらいたい場合は、少なからず見せ方の工夫をしたり、最低限SNSなどで宣伝することをオススメします。
ちなみに最近は、「500DL未満のフリゲ」を広める活動をされている方もいます。
しかし、そういった方に頼り切りになるのは、クリエイターとしての成長には繋がらないといえます。
人任せや運任せではなく「自力で何とかする術」も覚えないと、次回作もきっと状況は変わりません。
賛否が分かれるかもしれませんが、「中学生が一人で完成させたゲームです!」や「女子高生が青春をかけて制作しました」と言って人目を引くのも一応アリです。
作者自身の若さを売りにしたり、ある種のブランドを活用して集客する手段も戦略の一つといえます。
ただし、そういった戦略は、時が経つとそのうち使えなくなってきます。
「大学生が一人で完成させたゲームです!」や「OLが年休をとって制作しました」と言われたとき、果たして人々の目を引くでしょうか。
なので、社会人の方やあまり自身のことを売りにして宣伝したくない場合は、他の手段をとる必要があります。
ちなみにその手段は、特段難しいことではなく、フリゲ制作に慣れている大半の方が知っていることです。
以下の記事で解説していますので、ご興味のある方はご覧ください。
»自作ゲームのダウンロード数を増やす方法【公開テクニック】
15年間のフリーゲーム制作活動を振り返って
最後に、フリゲ制作者として送ったこの15年間を振り返ります。
私は最初の3年間はずっと失敗続きで、制作したゲームも全然遊んでもらえず、いただく評価も散々でした。
作品への酷評にとどまらず、私自身へ悪口が吐かれたり、なりすましされて嫌がらせを受けることも日常茶飯事でした。
今のようにネット上での誹謗中傷や犯罪が、大きく問題視されていなかったのです。
また、フリーホラーゲームの流行が重なっていた時期だったのも要因の一つといえます。
当時の私はまだ10代前半でしたので、見ず知らずの方たちにそういったことをされることに、恐怖を感じる日々を送っていました。
「なんでゲームなんて作って公開してしまったのだろう」と悩み、人間不信に陥り、味方でいてくださった方のことも信用できなくなりました。
その後、鬱になって自暴自棄になり、何もかもやめようとしたこともあります。
でもそんな時に、TwitterのDMで励ましの言葉をくださった方もいました。
その言葉に励まされ、才能が無いなりに泥臭くゲームを作り続け、少しずつマシなものが作れるようになりました。
そして15年が経った今では、当時の私には想像できないほど、多くの方に遊んでいただけるようになりました。
今でもときどき嫌な出来事は起こります。
実際、見ず知らずの人間に勝手に自作ゲームのタイトルを変えられ、Steamで販売されてしまうという被害にも遭いました。
それでも今では、フリゲ制作者として活動して幸せだったと思っています。
自作ゲームを遊んでもらえて、「楽しかった」「面白かった」と言ってもらえたのが、とにかく嬉しかったのです。
温かい言葉を送ってくださった方々、活動を応援してくださった方々のおかげで、私は15年間続けてこられました。
本当にありがとうございました!
これからの私は、フリゲ制作を離れて「同人ゲーム・インディーゲームの制作者」として活動していきます。
無料で遊べるゲームも公開はしますが、あくまで有料ゲームの販促としてのゲームになります。
そのため、最後まで無料で遊べる「フリーゲーム」は、『ライトを消すだけの高時給な宿直2』で最後です。
ドッド工房らしい「ホラーなフリゲ」で最後を飾れました。
なので、心残りはありません。